風車の雷対策・法律・指示書

風力発電施設における事故の原因

風車の被害は雷による被害が60%を占めています。

風車周辺には遮るものがなく、高所であるためです。
そのため、風車は雷が落ちる前提で作られています。
風車の避雷針に当たる部分は、ブレードのレセプタと呼ばれる場所であり、ここに雷が落ちるようにしています。
雷がその部分に落ちない場合は、大きな事故・故障につながります。

風車事故の発生状況

2013年以降、風車事故が増加している。

経済産業省、新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ(事故対応WG)に報告された事故の件数は、2013年3月から2014年7月までで19件となっている。

内訳は、ハブ・ナセル落下3件、火災2件、ブレード飛散等11件、支持物不具合1件、その他2件である。

 

雷被害の様相と雷保護対策

風力発電設備に落雷があった場合、被害発生の様相は被雷部位によって異なる。落雷を大きく分けると、風車のブレードに被雷する場合、ナセル部に被雷する場合、通信線・配電線に被雷する場合がある。

この他に、雷サージが電気機器・電子機器に伝搬し破壊に至る場合もある(下図参照)。

雷は自然現象であり風力発電設備への被雷部位を制御できるものではない為、雷保護対策としてはそれぞれの部位について当該地域での雷性状に耐えうる構造としなければならない。

ただし、通信線・配電線への落雷については風力発電設備に特有なものではなく、一般的電気設備としての対策が確立されているため、既存の対策を適用するものとする。

落雷頻度・被害

冬季と夏季での被害数を比較すると、5.2節で述べたように冬季の被害数が多く、一方、冬季と夏季の落雷数は夏季の方が多い傾向にある。

このため、冬季と夏季の落雷数と被害数との関係を比較すると、冬季では落雷数と比較して風力発電設備の被害数が多いことがいえる。

夏季

夏季においてはブレードへの甚大な被害は殆ど見られないが、それ以外の被害は全国的に発生している結果となっており、電力機器、制御機器等への対策については全国一律で実施することが妥当である。

冬季

冬季においては落雷頻度の多い地域に雷被害、特にブレードの甚大な被害が集中していることが分かる。その為、この地域ではブレードへの対策を優先的に実施することが重要である。