雷の被害には、主に2つの種類があります。
それぞれの被害を防ぐ方法も異なります。
外部雷の被害

人や建物、樹木などに直接雷が落ちる事で、人の場合は死亡する可能性が、建物では火災が発生する可能性があり、危険度は高いと言えます。
この為、外部雷への対策は法律で定められています。
対策:避雷針で防ぐ(法的義務あり)
建築物を落雷から保護するために建物の屋上や外壁などに設置するものです。
ベンジャミン・フランクリンが1750年頃に最初の避雷針を発明しました。
※現在も使われている「フランクリン避雷針」はこの 1750 年頃に発明された避雷針のことです。雷を誘い込み安全に落とすことを目的としています。
避雷針の仕組み
一般的に雷は、下記のような過程を経て避雷針へ落ちることになります。
①雲の底面にマイナスの電荷が溜まる
②地面にプラスの電荷が溜まる
③プラスの電荷は高い所へ上る性質をもち、ビルを伝って避雷針の先端に到達する
④マイナスの電荷が空気の壁(絶縁体)を突き抜ける
⑤避雷針の先端に溜まったプラスの電荷と瞬間的にバチンと繋がる = 落雷
⑥マイナス電荷とプラス電荷が一瞬にして中和され、電荷の飽和状態が解消される
内部雷の被害

パソコンの故障や、電子ロックの故障などがあります。
人への直接的な影響は無い為軽視されがちですが、上述の被害をもたらす事からトータルでの損害額は外部雷を上回ります。
対策:避雷器(SPD)で防ぐ(法的義務なし)
SPD(避雷器)とは、電源線や通信線などを落雷による異常電圧から保護するために設置するものです。
内部雷が家庭用のコンセントから侵入し、それに繋がれている電化製品を壊してしまうのを防ぎます。
SPDの原理
雷の電流は非常に大きく、落雷の影響により、その周辺には「雷サージ」と呼ばれる短時間で一時的に発生する異常な過電圧、過電流が発生します。
発生した雷サージは電源線や通信線を通って建物内の電気機器に侵入し、機器に被害を及ぼします。
この雷サージによる影響は落雷した地点から、数km先にまで及ぶことがあり、すぐ近くの落雷でなくても被害をもたらす可能性があります。
その為、「避雷針があれば雷から機器が守れる」というのは間違いです。
避雷針の役割は、雷による建築物の破損などを防ぐことであり、工場内の機械や、オフィスの電話、など建物内の電子機器は守ることができません。
避雷針はあくまでも、「避雷針にわざと雷を落とすことで、他の人や建物へ雷が落ちないようにする」ことを目的とした設備です。
雷が勝手にビルの側面に落ちないように、ビルの一番上でここに誘導し、地面に放電のエネルギーを流すことでビルの内部の安全を図っています。
避雷針は落雷被害を「避ける」という大きな意味で正しい名称ですが、
実際には避雷針を設置した箇所へ雷を誘導しているので、「誘雷針」と言った方が適切な名称かもしれません。
その為、これらの建物内の電気・電子機器を雷サージから守るためにはSPD(避雷器)が必要です。
雷対策は外部雷と内部雷の2つの対策が必要
外部雷と内部雷、2つの特性について解説しました。
避雷針があれば雷対策は終わりではなく、SPDによる内部雷への対策と両方行う事で、ようやく雷対策が出来ていると言えるのです。